発行物PUBLICATIONS

サービス付き高齢者向け住宅等におけるサービス利用の適正化に向けた調査研究報告書
特定施設たる住宅型有料老人ホームに入居する者については、介護保険上、特定施設入居者生活介護費を算定できるため、外部サービス利用はない。一方で、同様の高齢者向け住まいである非特定施設たる住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅に入居する者については、施設外の介護保険サービス等の利用が可能である。既存の報告では、平成29 年度の大阪府内4 市について入居者と非入居者を比較した結果、受給者一人当たり介護給付単位数について、入居者の方が高い傾向にあったと報告されている。しかし、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅に入居する者に係るサービス利用状況の比較は他地域からは報告されておらず、サービス利用の適正化にむけた議論を行なうための資料を蓄積していくことが望ましい。こうした報告が不足している原因として、①「サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームに住む介護保険被保険者の特定」、②「特定された被保険者のサービス利用状況の分析」がそれぞれ困難であることが挙げられる。この分析を行うためには、各施設と介護保険被保険者の住所地の突合、および医療・介護レセプトとのリンケージとその解析のための基盤や人材が必要である。
本報告書では、対象県における国民健康保険・後期高齢者医療広域連合・介護保険広域連合から匿名化した医療レセプトデータ、介護レセプトデータ、複数の被保険者台帳データ等をリンケージさせたビッグデータを活用して、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホーム住所情報を突合して、被保険者の介護・医療サービスの利用実態を分析し、サービス利用の適正化に資する基礎資料を提供する。
訪問看護サービスの在宅療養者の医療的処置・ケアの実態把握のための調査研究事業報告書
訪問看護制度は、在宅の寝たきりの老人等に対して老人訪問看護ステーションから看護師等を訪問させて看護サービスを提供し、老人訪問看護ステーションに老人訪問看護療養費を支給する制度として、創設された。現在においては、介護保険の訪問看護の利用者及び後期高齢者医療の訪問看護の利用者のみならず全世代を対象として、訪問看護サービスが提供されている。
主な訪問看護の内容として、(1)療養上の世話、(2)診療の補助、(3)リハビリテーションに関すること、(4)家族支援に関すること、が挙げられるが、平成30年度介護報酬改定において、中重度の医療ニーズを有する訪問看護利用者を一層支援する観点から、医療処置及び24時間対応が可能な体制、看取りの実績等を行う事業所を更に評価し、看護体制強化加算Ⅰの新設等を行った。しかし、当該加算における要件となっている特別管理加算については、「医療ニーズを有する状態」であることを列挙しているが、重症化予防を目的とした抗凝固療法のための日々の皮下注射薬の実施や副作用の管理等、先進する医療に伴う医療処置が含まれていない現状にある。また、独居高齢者や老老介護世帯である等、継続的な医療処置の管理やセルフケア能力の習得が必要な利用者への療養指導も複雑化し、訪問看護による密な指導や見守りが必要となっている。 
このような医療行為のニーズを検証することが不可能である理由のひとつが、客観的に実態把握を可能とするデータベースがないことである。近年、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)や、国保データベース(KDB)システム、医療・介護連結データベースなど、レセプトデータを中心に利活用が進み研究等で成果報告がされている中、訪問看護サービスの医療的処置・ケアの実態把握に焦点を当てた研究報告例は乏しいのが現状である。また、医療機関から保険者に対して請求される訪問看護レセプトが電子化されていないため、現時点ではデータ活用ができない状況がある。ただし、介護レセプトにおける訪問看護サービスのデータ利用は可能である。
本事業では、現行の訪問看護に関する実践及び報酬体系や提供体制のあり方についての検討資料を提供することを目的とする。具体的には、訪問看護サービス利用者の医療的処置・ケアの実態把握のために、医療上必要な処置等が記録されている診療報酬明細書(医療レセプトデータ)と介護レセプトデータを連結し、特別管理加算の対象者、現在は加算の対象となっていないが当該加算相当の医療ニーズを有すると想定される利用者についての同定を行い、各集団の介護利用・看護提供内容に加えて、医療保険内診療の実績(病名、医療行為等)も含めて分析を行う。
ケアマネジメントの公正中立性を確保するための取組や質に関する指標のあり方に関する調査研究報告書
ケアマネジメントの公正中立性を確保するための取組、質に関する指標については、社会保障審議会介護保険部会をはじめ、これまで公式、非公式の場を問わず、継続的に検討されてきた。これまで、運営基準や介護報酬での対応のほか、研修の充実や主任介護支援専門員の創設、ケアプラン点検、地域ケア会議などによって実践が重ねられてきたが、社会保障審議会介護給付費分科会の「平成30年度介護報酬改定に関する審議報告」において、継続して検討する必要がある旨の指摘があった。
本調査研究は、これを受けて「公正中立性を確保するための取組」や「質に関する指標」について、実態を把握するために介護支援専門員等に対してアンケート調査、インタビュー調査を行うとともに、先行研究や海外との比較なども踏まえて、委員会で検討したものである。
【短縮版】ケアマネジメントの公正中立性を確保するための取組や質に関する指標のあり方の概要
介護保険制度の実施状況に係る全体像把握のためのツールに関する調査研究報告書
本調査研究事業は、平成27年に「大都市における地域包括ケアをつくる政策研究会」にて開発された保険者シートを基に、保険者シートが各保険者において有効に活用され、広く普及していくための方策を検討するため、都道府県調査、全国市町村(保険者)調査、及び8厚生局単位の地域戦略グループディスカッションを実施し、保険者シートのリニューアル及び普及のあり方の示唆を得た。

令和2年度 介護保険「保険者シート」に関する事業についてはこちら
介護保険制度の実施状況に係る全体像把握のためのツールに関する調査研究報告書(概要版)
介護保険制度の実施状況に係る全体像把握のためのツールに関する調査研究 WEB資料1
介護保険「保険者シート2020」、及び介護保険「保険者シート2020」作成マニュアル