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2016/01/28プレスリリース

乳幼児医療費助成制度が子どもの健康へ与える影響に関する研究について

〜就学児への医療費助成の拡大は健康指標への影響なし〜

医療経済研究機構(東京都港区、所長:西村周三)は、主任研究員の高久玲音が行った、乳幼児医療費助成制度が子どもの健康へ与える影響に関する研究成果を「Social Science & Medicine」誌にて発表しましたので、その概要を別添のとおりお知らせします。
本研究では市区町村に対するアンケート調査で明らかになった1995〜2010年の乳幼児医療費助成制度の拡充過程を、同期間の国民生活基礎調査とマッチングすることで、対象となった子ども(未就学児:約12万人、就学児:約14万人)について、医療費助成の拡充が健康指標の改善をもたらしているか否かを検討しました。その結果、1.未就学児、就学児とも、医療費助成の対象となるかどうかの確率と入院確率は相関しないこと、つまり医療費助成を受けても入院する確率は下がらないこと、2.未就学児については限定的に有訴確率が低下すること、3.就学児については、検討したすべての健康指標に関して、健康水準を改善しないことが明らかになりました。総括して、医療費の助成拡大による健康の改善効果は限定的なことが示唆されました。
なお本研究は、『科学研究費補助金若手研究 (B) 乳幼児医療費助成制度は子どもの健康に影響を与えているのか?(研究代表者:高久玲音)』の助成を受けております。

20160128_press.pdf